土木工事業における建設業許可取得のカギ:3つのポイント
500万円以上の土木一式工事の請負いには、土木工事業の建設業許可が必要です。土木工事業(=土木一式工事)は、建築工事業(=建築一式工事)と並んで、建設業許可の29業種の中でもかなり特殊な業種です。
土木工事業で許可を取得をご検討の方は、以下にご留意ください。
『一式』という名前のため、あらゆる工事を何でも請け負えそうな気がするのですが、それは決してそうではありません。
実際には、『一式工事』の定義に該当する工事に限られます。
一式工事とは、建設現場において、大規模あるいは施工内容が複雑な工事を、企画・指導・調整のもとに行う工事のことです。
具体的には、『一式工事』の許可を取得していても、500万円を超える各種専門工事を請け負う際には、それぞれの専門工事(たとえば『舗装工事』など)の許可が個別に必要となります。この点は誤解されやすいため、ご注意ください。
建設業許可の『土木一式工事』の種類とは?
土木一式工事の定義は、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事であります。この工事には補修、改造、または解体する作業も含まれます。土木一式工事は大規模なプロジェクトや施工内容が複雑な工事を指し、原則として建設業者が元請業者として総合的に運営・管理を行います。
これには安全性や品質確保、スケジュール管理など様々な要素が含まれます。
さらに、「原則として元請の立場で(=発注者から直接)請け負う工事」のみが『土木一式工事』の定義とされます。
貴社が『下請』として請け負う工事は(原則として)『一式工事』と成り得ない、ということです。こちらは重要な点となりますので、ご留意ください。
それでは、具体的に『土木一式工事』に該当する工事内容をご確認ください。
道路、歩道、自転車道、ダム、トンネル、橋梁、防波堤、水路、下水路の新設・拡幅・改修・解体工事、電線共同溝工事、下水本管・ガス本管敷設工事、擁壁工事、法面保護工事(法枠工法によるもの)、宅地造成工事(粗造成のみの請負を除く)、など |
土木一式工事は、通常、元請の役割で施工されますが、元請は監督や材料供給などに限定され、実質的な施工全般は、特定の一次下請業者が行う場合があります。このようなケースでは、元請と一次下請の両者が土木工事業に分類されます。
建設業許可(経営業務の管理責任者)要件を満たすこと
1.土木工事業をする企業で、役員(取締役)として5年以上の経験があります。 2.土木工事業以外の建設業種を営んでいる企業で、役員(取締役)として6年以上の経験があります。 3.土木工事業を営む個人事業主として5年以上の経験があります。 4.土木工事業以外の建設業種を営む個人事業主として6年以上の経験があります。 5.土木工事業を営んでいる企業または個人事業主の元で6年以上の経営補佐経験があります。 |
建設業許可を取得するためには、通常、申請者の取締役のうち1人(または個人事業主本人)が前述の条件のいずれかを満たし、その方が主たる営業所での常勤勤務が必要です。
また、基本的には元請の立場でないと土木工事業の実績とは認めらえません。
建設業許可(専任技術者)要件を満たすこと
建設業許可の土木工事業の対応資格 |
・1級土木施工管理技士 ・2級土木施工管理技士(種別:土木) ・1級建設機械施工技士 ・2級建設機械施工技士(第1種~第6種) ・技術士『建設・総合技術監理(建設)』 ・技術士『建設「鋼構造物及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)』 ・技術士『農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)』 ・技術士『水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)』 ・技術士『森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)』 |
土木工事業の指定学科を卒業し、一定の実務経験がある |
土木工学(農林土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科 |
高校もしくは中等教育学卒業の場合、卒業後5年以上の実務経験 大学・高等専門学校卒業の場合、卒業後3年以上の実務経験 |
『土木工事業』にかかる建設工事の実務経験が10年以上あれば,要件を満たせます。 |
建設業許可を取得する場合、各事業所において常勤で働く従業員のうち、少なくとも1人が上記の条件を満たしている必要があります。
また、基本的には元請の立場でないと土木工事業の実績とは認めらえません。
2024年07月01日 00:00