風営法による風俗営業許可の罰則強化とは?徹底解説
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
一部改正の概要
1.改正の背景
近年、いわゆるホストクラブにおいて、女性客が遊興または飲食をした結果、売掛金等の名目で多額の債務を負わされる事案が発生しています。
これらの事案では、ホストやホストクラブの経営者から、債務の支払を理由に売春行為や性風俗店での就労、さらにはAV出演等を要求されるケースも確認され、深刻な社会問題となっています。
このような状況を踏まえ、風俗営業の健全化と利用者の保護を目的として、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部が改正されました。
本改正は、今後の風俗営業許可申請や営業実務においても、極めて重要な影響を及ぼします。
2.改正の概要
(1)接待飲食営業に関する遵守事項・禁止行為の追加
※「接待飲食営業」とは、設備を設けて客の接待を行い、客に遊興または飲食をさせる営業をいいます。
① 遵守事項として新たに禁止される行為(行政処分の対象)
-
料金に関する虚偽の説明
-
客の恋愛感情や好意につけ込んだ飲食・遊興の要求
-
客が注文していない飲食物等の提供
② 刑事罰を伴う禁止行為
-
注文や料金の支払をさせる目的での威迫行為
-
威迫または誘惑により、料金支払のために
-
売春(海外売春を含む)
-
性風俗店での勤務
-
AV出演等
を要求する行為
-
(2)性風俗店におけるスカウトバックの禁止
性風俗店を営む者が、スカウト等から求職者の紹介を受けた場合に、紹介料を支払う行為(いわゆるスカウトバック)が新たに禁止されました。
この行為には罰則が設けられており、ホスト・スカウト・性風俗店が連携した不当な勧誘行為を排除することが目的です。
(3)無許可営業等に対する罰則の強化
風俗営業の無許可営業等について、以下のとおり罰則が大幅に強化されました。
-
個人に対する罰則
-
拘禁刑:2年以下 → 5年以下
-
罰金:200万円以下 → 1,000万円以下
-
-
両罰規定における法人罰則
-
200万円以下 → 3億円以下
-
これにより、風俗営業許可申請を行わずに営業するリスクは、従来よりも格段に高まっています。
(4)風俗営業からの不適格者の排除(欠格事由の追加)
以下の者が、新たに風俗営業の許可における欠格事由として追加されました。
-
親会社等(A・B・C)が許可取消処分を受けた法人
-
警察による立入調査後に、処分逃れを目的として許可証を返納した者
-
暴力的不法行為等を行うおそれがある者が、事業活動に支配的影響力を有している場合
改正内容の整理
| 区分 | 改正内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 背景 | ホストクラブによる多額債務・性産業への強要 | 社会問題化を受けた法改正 |
| 接待飲食営業(遵守事項) | 虚偽料金説明、恋愛感情利用、無断提供の禁止 | 行政処分の対象 |
| 接待飲食営業(禁止行為) | 威迫・誘惑による支払強要、売春・性風俗就労要求 | 刑事罰あり |
| スカウトバック | 性風俗店による紹介料支払の禁止 | 罰則新設 |
| 無許可営業 | 刑事罰・法人罰の大幅強化 | 風俗営業許可申請の重要性増大 |
| 欠格事由 | 許可取消法人関係者、処分逃れ、反社会的勢力排除 | 許可取得の審査厳格化 |
行政書士としての実務補足
本改正により、風俗営業許可申請の段階での適法性確認、ならびに営業開始後のコンプライアンス体制構築がこれまで以上に重要となっています。
特に接待飲食営業(ホストクラブ等)を予定している場合は、許可要件だけでなく、営業内容・料金体系・従業員教育まで含めた慎重な対応が不可欠です。